優待クロス(つなぎ売り)入門とコスト計算ツール

株主優待を、株価の値下がりリスクをほぼゼロにして受け取る方法が優待クロス(つなぎ売り)です。 仕組み・注意点と、実際にかかるコストを計算できるツールをまとめました。

コスト計算ツール

約定代金
貸株料
手数料
配当の税金分の損(配当×20.315%)
逆日歩
コストの合計
優待 − コスト

貸株料=約定代金×年率×日数÷365 で計算しています(証券会社により計算方法に細かな違いがあります)。

優待クロスの仕組み

権利付最終日に、同じ銘柄・同じ株数を「現物で買う」と同時に「信用取引で売る」と、その後に株価が上がっても下がっても、 買いの損益と売りの損益が打ち消し合います。権利付最終日の取引終了時点で株を持っているので、株主優待の権利は得られます。 翌営業日(権利落ち日)に、持っている現物株を信用売りの返済に充てる「現渡し(品渡し)」をすれば取引は終わりです。

ポイント:値下がりリスクはほぼなくなりますが、コストはゼロではありません。上の計算ツールで「優待の金額>コスト」になるか確かめてから行いましょう。

制度信用と一般信用の違い

制度信用の売り一般信用の売り
在庫証券金融会社から株を調達。売れる銘柄なら在庫切れはほぼない証券会社が用意した在庫だけ。人気銘柄はすぐ売り切れる
逆日歩かかることがある(株不足のとき)かからない
貸株料年1.1%前後長期 年0.8〜2.0%、短期 年3.85〜3.9%程度
優待クロスへの向き逆日歩のリスクがあり上級者向け◎ 基本はこちら

逆日歩(ぎゃくひぶ)の怖さ

制度信用で売る人が多く、貸し出す株が足りなくなると、売り方が逆日歩(品貸料)を払う必要があります。 金額は権利確定日の翌日以降に決まるため、売った時点ではいくらになるか分かりません。 しかも権利付最終日の前後に土日や祝日がはさまると、その日数分もかかります。人気の優待銘柄では、 1日分の逆日歩が優待の価値を超えてしまうこともあります。制度信用でクロスするときは、計算ツールの「逆日歩」に過去の水準を入れて、最悪のケースも確認しておきましょう。

配当がある銘柄は「配当の税金分」が損になる

信用で売っている側は、権利落ちのときに配当と同じ額の配当落調整金を支払います(税金は引かれない満額)。 一方、現物で持っている側が受け取る配当からは20.315%の税金が引かれます。そのため、配当をもらっても、 配当×20.315%の分だけ損になります。例えば1株50円・100株なら、配当5,000円のうち約1,016円が損です。 配当利回りの高い銘柄ほど、この損が大きくなる点に注意してください(確定申告で配当控除などを使うと、取り戻せる場合があります)。

優待クロスの手順

  1. 一般信用の売りができる証券会社で、信用取引口座を開く(審査に数日かかります)
  2. 権利付最終日までに、同じ銘柄・同じ株数で「現物買い」と「一般信用売り」を同時に注文(寄り付き前の成行注文が一般的)
  3. 権利付最終日の取引終了まで両方を持っておく
  4. 権利落ち日以降に「現渡し」で決済する

一般信用の売りができる主な証券会社(2026年8月時点)

月別の優待クロス候補

優待の金額からコストの目安を引いた「お得度」の順に並べています。

よくある質問

優待クロスは本当にノーリスクですか?

株価の値動きによる損益は、買いと売りで打ち消し合うのでほぼゼロになります。ただし、貸株料・手数料・配当にかかる税金(配当落調整金との差)・制度信用の逆日歩などのコストがかかります。優待の価値よりコストが大きいと損になります。

制度信用と一般信用、どちらで売ればいいですか?

優待クロスでは、逆日歩がかからない一般信用の売りが基本です。制度信用は在庫を気にせず売れますが、株が不足すると逆日歩という追加コストが発生し、優待の価値を大きく超えることがあります。

NISA口座で優待クロスはできますか?

NISA口座では信用取引ができません。また、NISA口座で買った株は「現渡し」で信用売りを返済できないため、優待クロスは特定口座(または一般口座)で行うのが基本です。

いつ仕込めばいいですか?

一般信用の売りの在庫は、人気の銘柄ほど早くなくなります。権利付最終日の2〜3週間前から在庫が出ることが多く、短期の一般信用(14〜15営業日)なら、期限内に権利付最終日が入るタイミングで仕込みます。保有日数が長いほど貸株料は増えます。